看護師の復職はなぜ少ない?

看護師の人材不足はとても深刻化しており、社会問題になっているほどです。一方で、資格を持ちながら看護師として勤務していない潜在看護師の数は、全国で71万人といわれ、これだけの有資格者が復職しない原因を考える必要があります。

まず、医療現場で駆使される技術は日進月歩で、日々新しくなっているといっても過言ではありません。たとえ短期間であっても、一旦現場を離れるとこうした技術の進歩についていけなくなり、戦力として働けるようになるまで時間を要するのではないかという心配が生じます。後輩が自分の知らない技術を使う現場に戻るのは、多少気後れすることも否定できません。こうした不安が、復職にブレーキをかけてしまう現状があります。

また、看護方式も変化しつつあり、看護師1人が患者1人に責任を持ってケアする従来のプライマリーナーシングよりも、複数の看護師が交代で1人の患者をケアするチームナーシングが主流になってきました。チームナーシングは、技術の高い看護師が新人の看護師をリードする方式で、看護師同士の緻密なコミュニケーションが不可欠です。チーム一体となって看護に取り組む現場に復職して、新人のような立場からやり直すことは、実務経験のある看護師には少なからず抵抗があるのかもしれません。

いずれにしても、戦力として活躍できる人材を復職させる機会を逸している現状を打破するために、再教育のシステムなどを整備する必要があるでしょう。